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 ビーコンの耐用年数はどのくらいなのかよく分かりませんが、1本アンテナ・2本アンテナの機種もまだまだ現役で活躍しています。Tracker DTSは今年も店頭に並んでいました。(まぎらわしいのですが、DTSが2本アンテナでTracker2が3本アンテナです)
 気になるスパイクの範囲について、文献「digital beacon pinpointing in the vertical plane」では
"(the vertical plane is) fairly thin slice of space,less than half a meter wide"0.5m以下程度と述べられています。我々の測定でも、1mのグリッドの半分(0.5m)ほど前進すると距離表示は通常の値に戻りました。数mの地点で急に距離表示が跳ねあがったら①ビーコンは水平のままもう少し進んでスパイク地点を抜け出す(文献1.2)②その場でビーコンを一旦下に傾けてスパイクであることを確認、その後ビーコンは水平に戻して前進する(文献2)などの方法がこれまで提唱されています。また、スパイクの出現する地点は発信ビーコンの向きと深さによって決まりますので(文献2)、これを理解しておくことも重要な手掛かりとなります。

 デジタルビーコンの距離表示は、発信ビーコンまでの直線距離を正確に表しているのではなく、各メーカーのアルゴリズムによって計算された磁力線距離らしきものが表示されているようです。実際にポール上1m、2m、3、に発信ビーコンを設置して自分の持っているビーコンの特性をテストしてみるのも面白いかもしれません。昨年度の北海道雪崩講習会基本クラスでは、積雪断面観察用のピットを利用して積雪構造の観察の後、深さ1m地点に作成した横穴に発信ビーコンを設置して雪面上で各自クロス法を行い、それぞれのビーコンのピンポイント性能と距離表示を体験しました。
 デジタルビーコンの場合丁寧に(発信周期よりも動きを遅くして)最小表示距離の小数点一桁の変わり目を探ると、プロービングエリアがかなり絞り込めます。以前別の講習会で出会った方は、雪面の凸凹をならして雪面と受信ビーコンの距離を常に一定に保ちとても精度の高いピンポイントを行っていました。
 このピンポイント性能は機種によって若干の差があります(文献2)。ビーコンによるfine searchからprobingへの移行のタイミングについては現在研究部の中でも議論になっています。アナログビーコンが主流だった時代のまま一律に「2m以下の表示になったらプロービング開始」でよいのか「できるだけ正確な場所を特定」した方が結果的に早いのか今後検証してゆく予定です。

 話は変わって、東北・宮城労山には全国的にも有名な雪崩講習会講師の先生方が複数在籍しています。2011年北海道山岳雪崩安全セミナーではビーコンの3次元捜索理論に詳しい鈴木先生が「レスキューとビーコン捜索」のレクチャーをおこないます。またセミナー前日の10/29(土)午後に少人数制の実習、ビーコン捜索検討会が企画されています。定員10名程度ですが、北海道雪崩講習会受講生はこちらも併せて参加可能です。

文献1:Pinpointing on a line: A modern technique for solving deep burials
http://www.backcountryaccess.com/english/documents/PinpointonLine_Edgerly.pdf
文献2:第13回北海道雪崩研究会誌(2011年6月発行)NPO法人北海道雪崩研究会
   著者連絡先:takayuki.matsu@nifty.com(松浦:研究部長・北海道雪崩講習会主任講師)

用語の整理
Null (アナログビーコン) 音が急に消える
Spike (デジタルビーコン) 距離表示が急に跳ね上がる(Spikes)
Misleading maximums
(アナログビーコン)Nullの手前、音が最大のポイントと勘違い
Misleading minimums
(デジタルビーコン)Spikeの手前、最小距離表示と勘違い

2010.9.23第1回測定会
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 北海道(登山者)雪崩講習会が発足した当初は国産のAB1500とOrtovoxのF1 focus(どちらもアナログビーコン)しかなかったのが、いつの頃からか、店頭に並んでいるのはほとんどが高性能の3本アンテナデジタルビーコンになっています。Tracker2、Ortovox 3+ Arva linkなどの新しい機種も次々に登場して新人さんに何をお勧めしたらいいのか迷うことも多いと思います。
 10/30(日)の山岳雪崩安全セミナーでは昨年に引き続き、b.c.map札幌店の藤野氏が最新雪崩装備について、雪崩ビーコンだけでなく、シャベル・プローブ・その他のグッズについて実物を提示しながら分かりやすく解説してくださる予定です。また、実際にビーコンを触りながらワークショップ形式の実演会を2~3機種について各20分づつ行う予定です。是非ご参加ください。
主催:道央地区勤労者山岳連盟・NPO法人北海道雪崩研究会
2011年10月30日 12:00~17:00 りんゆうホール(北9東2)
講座1 最新雪崩装備の動向 ビーコンワークショップ 藤野氏(b.c.map札幌店)
講座2 基礎講座「ビーコンの電波・磁界特性」 鎌田氏(工業高校教諭)
講座3 レスキューとビーコン捜索 鈴木氏(東北雪崩講習会講師)
会費500円 定員80名
要事前申し込み 10/25締め切り http://homepage3.nifty.com/hokkaido-nadare/

雪崩ビーコンのサイトへのリンク
PIEPS
Ortovox
arva(Nic Impex)
MAMUUT
BCA(backcountry access)
その他
Life-Link
Black Diamond
G3
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 雪崩ビーコンの中には磁界型アンテナであるバーアンテナが入っています。フェライトコアの周りにコイルが巻かれた「微小(波長に比べて十分小さい)ループアンテナ」の一種です。

 同じく中波帯を扱うAMラジオなどでは、波長にくらべて充分遠方で受信するため、外に向かってゆく「放射電磁界」をアンテナで受信していますが、雪崩ビーコンのシグナルを受信する数10メートルの距離では「近傍界(λ/2π=656m/6.28=104.4m)」の範囲内であるため「誘導電磁界」成分の磁力線をたどってゆくことになります。テキストなどでよく目にする「かぼちゃ型」のflux lineはこの「アンテナ周辺の誘導磁界の磁束(magnetic flux)の形状」を表しています。
一般的に磁力線にはマクスウェルの応力から説明される以下のような特徴があるようです。
・互いに交わったり、途中で枝分かれしたりしない
・隣り合う線はお互い離れようとし、1本の線は短くなろうとする
 捜索の時に発信ビーコンの側方からスタートすると、大きくカーブを描いて発信アンテナの長軸方向に入っていくことになるので、近距離になったら発信シグナルの間隔を考慮しながらゆっくりアプローチし、磁束の入っていく(出ていく)方向をしっかり見定めるのがピンポイント時間の短縮につながります。
 「電波誘導法」、元々の英語の文献ではradio guideやradio guidanceではなくinduction-line methodと呼ばれています。(electromagnetic) induction(電磁誘導)の起こるline上を辿ってアプローチするというニュアンスでしょうか。鈴木先生の講座では「磁力線探索法」という用語を併用していました。絶妙なネーミングですね。

 磁界によるナビゲーションコンパスへの影響が気になります。コンパスを発信アンテナに密着させるとフェライトコアの方向を向いてしまいますが、数センチ離れると地磁気(50μT)よりもずっと小さい値のようです。
 絶対値は小さいですが、発信アンテナの周波数457kHzで振動する磁界を、共振の原理を利用した「磁界共鳴」で効率よく拾っていると、我々は推測しています。「磁界共鳴」とは「ワイヤレス給電技術」の一つとして近年注目を浴びている概念で初心者向けの書籍も出ており、NPO法人北海道雪崩研究会ではコイル型アンテナ近傍の磁界の分布について文献的考察を行っています。(H.Otsuka )

 10月30日(日)午後にりんゆうホール(北9東2)で行われる山岳雪崩安全セミナーでは工業高校教諭の鎌田先生が、電磁波の基礎からビーコンの仕組みまで分かりやすくお話してくださる予定です。
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昨年の様子(2010.10.15旭川市ときわ市民ホール)
http://www.njsf.net/info/news/2010/11/0564654.html

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 今年は「自然保護セミナー」として、ネーミングも新たに、登山者として豊な自然を守り共生するため、私たちは何をすべきか、何をしてはいけないか、登山をめぐる状況を学びます。
翌日の登山は、初秋の十勝連峰を、それぞれの足に合わせて楽しみましょう。

日時 9月10日(土)~11日(日)
場所 十勝山系・白銀荘(上富良野町吹上温泉 )

9月10日(土)セミナー・自然保護関係の学習
 15:30 白銀荘(現地集合)
 16:00~17:00 セミナー(講師選考中)
 17:00 夕食準備(共同豚汁:各会から人を出す)
 18:30~20:00 夕食交流
9月11日(日)記念登山(コース)
以下の5つのコースを準備しますが、希望者が5名以下のコースは中止します
①十勝岳ピストン 
②富良野岳ピストン 
③カミホロカメットクピストン 
④富良野岳稜線→三峰→十勝岳温泉分岐縦走 
⑤三段山ピストン
 6:00 白銀荘出発(記念写真) 
 14:00 各パーテイ毎に解散

参加費 2,900円(宿泊費・豚汁代) 交通費・車ごと  
持ち物 日帰り登山装備一式・温泉セット(翌日の温泉300円)・主食3食分(寝具はあります)
申し込 各会ごとにまとめて、登山コース①~⑤を記入し下記に申請して下さい
申込先 自然保護委員 永井
締 切 9月1日までにお願いします。
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